■月給は約4万円

 3月のうだるように暑い午後、訓練生たちは日差しをさえぎるキャンバス地のテントの下で、南アフリカの警察官から銃の安全な使用法について講義を受けていた。「任務中に危険人物を発見したら増援を要請するんだ。自分をヒーローだと思わないように」と警察官は話した。

 認定を受けた密猟取り締まりレンジャーは民間のガードマンに近い扱いとなっており、銃器使用許可証の発行を受けて合法的に銃の所持と発砲を行うことができる。

 ルード氏の右腕の一人、ウィルフレッド・ラデベ(Wilfred Radebe)氏(26)は1年間の教程で候補生たちを厳しく鍛える。ラデベ氏は「さて、やつらをしごくとするか」とにやりと笑った。「その後に楽しい時間も用意してある。刑務所にいるようだと連中が思わないようにな」

 キャンバス地の黒いハイトップ・シューズを履き、鋭い日差しを避けるためのつばの広いフロッピーハットをかぶったラデベ氏は、銃弾が飛んでくるところに飛び込んでいくのだと良く理解しているとは限らない訓練生たちに、この仕事の厳しさを教え込まなければならないと語る。

 ラデベ氏は、「あいつらはなぜ自分たちがここにいるのか理解しないといけない」と言う。「この任務には気概のある人間が必要なんだ」

 訓練生のピーター・ガティ(Peter Kgathi)さん(34)は、自分はそんな人間だと確信している。将来は約4000ランド(約4万円)のレンジャーの月給で妻と子どもたちを養うつもりだ。

 長身ですっくと立つガティさんは、レンジャーになったら南アフリカの大半のサイが生息し、密猟件数も多いクルーガー国立公園で働きたいと語った。「サイを見るといつも幸せな気持ちになるんです」と言うガティさんは、子どもたちの世代にもサイを残さなければならないと話した。(c)AFP/Stephanie Findlay