■困難を克服してきた知恵を他者へ

 サンフラワーのマリア・ダビラ(Maria Davila)代表は、売春婦は相談役に適していると語る。「私たちは困難を克服し、家族を養うために何としてでも仕事を見つけるファイターだ。私たちには権利と、仲間や家族を助ける才能がある」

 コニーさんにとっては地域社会の役に立ち、売春婦として働くことで失った尊厳を回復するチャンスである。「知らない人間が自分の上に乗っていることが、どんなに耐え難いことか。尊厳のある仕事じゃないし、胸が悪くなる。でもそれで私たちは子どもを食べさせている」

 AFPが取材を行ったマタガルパ(Matagalpa)の街にあるコニーさんの家は、廃材とビニールで作られた小屋だった。コニーさんは2人の子どもを育てるために売春婦になり、3人の孫を養うために働き続けた。ありとあらゆる種類の男性と寝てきたという。「農夫、会社員、学生、牧師、神父、政治家……」

 人口600万のニカラグアに売春婦は1万4000人いるといわれる。彼女たちは往々にして客に暴力を振るわれ、レイプや強盗の標的にもされる。医療保険に加入しておらず、警察による差別や嫌がらせにも直面している。

 こうした女性たちが暮らす地域では、いざこざに事欠かない。例えばコニーさんが暮らすスラムでは、文字通り家の上に家が建つように、掘っ立て小屋がひしめき合っている。誰かの家の上に誰かの家が建っているようなものだ。水は2日に1回やってくる給水車から水差しで買うしかない。こうした環境では、言い争い、けんか、家庭内暴力は日常茶飯事だ。

 相談員養成プログラムで学ぶイェセニア・アルストン(35)さんは「セックスワーカーであることに誇りを持っている」というが、一方で地域社会の役に立てることを楽しみにしている。「これは私たちが自分の権利を守るために得た知識を使って、家族や仲間のセックスワーカーたちを助ける機会です」と彼女は語った。(c)AFP/Blanca MOREL