【4月10日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が3月末以降、シリア中部の村から少なくとも50人の住民を拉致し、人質にとっていると10日、監視団体が発表した。

 英NGOのシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、住民たちは3月31日にISに襲撃されたシリア中部ハマ(Hama)県のマブジェ(Mabujeh)村から拉致された。

 これまで人質の解放交渉が続けられていたため、拉致に関する情報は秘密にされていたが、交渉は行き詰っていると、同監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表が語った。

 拉致された村人たちのうち、女性6人を含む10人は、イスラム教シーア派(Shiite)の分派で少数派のイスマーイール派(Ismailis)、残る40人はスンニ派(Sunni)の教徒で、うち少なくとも15人が女性だという。ラフマン氏はAFPに対し「女性は奴隷にされている恐れがある」と述べた。

 ラフマン氏の説明では、ISはイスマーイール派の村人を「異教徒」とみなしており、また他の住民についてはIS自身と同じスンニ派にもかかわらず「イスマーイール派に忠実だ」として拉致されたとみられる。県都ハマの東に位置するマブジェ村には、スンニ派、イスマーイール派と、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領一族の出自であるシーア派の別の分派、アラウィー派(Alawite)の人々が暮らしている。

 監視団によると、ISはこの村を襲撃した3月31日に「銃撃したり、首を切ったり、焼くなどして」子ども2人を含む少なくとも37人を殺害した。(c)AFP