■「国家主権に対する脅威」

 アラブ連盟は以前から、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」などの「テロ集団」と闘うため、合同軍を早急に設置する必要性があると訴えていた。

 だが、サウジアラビアの主導で先週始まったイエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系武装組織「フーシ派(Huthis)」に対する空爆は、各加盟国が利害と優先項目といった点で一致していないことを浮き彫りにした。

 仏トゥールーズ大学(University of Toulouse)のマチュー・ギデール(Mathieu Guidere)教授(アラブ地政学)は、「問題は、この軍がスンニ派(Sunni)アラブ諸国の軍ともみてとれることだ。よって合同軍は、自らの行動が宗派心を動機とするものにはならないことを証明しなければならない」と指摘。「一部の国は、内政へのいかなる干渉も否定的にとらえ、国家主権に対する脅威と受け止める」との見方を示した。

 カーネギー国際平和財団のウェーレイ氏は、アラブ諸国はイエメンへの軍事介入で、従来の軍事力を行使する際に課題に直面する可能性があると指摘。「アラブ諸国の部隊は従来の戦争のために作られたもの。これまで一流の軍備に重点が置かれてきたが、これらは反政府勢力よりも、従来の敵との戦いに適している」と説明した。(c)AFP