【3月23日 AFP】チュニジアとイエメンで相次いで発生したイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」による襲撃事件と自爆攻撃について、専門家らは、シリアやイラクでの後退から人々の注意をそらし、勢力を拡大する能力を誇示する目的で行われたと指摘している。

 ISに関する著作があるJ・M・バーガー(J.M. Berger)氏はAFPの取材に対し、ISの戦略は「拡大」にあり、イエメンとチュニジアでの攻撃は、自分たちがどこにでも存在していることを示す狙いがあったと指摘。「力があるイメージを作り出すことは、ISのメンバー勧誘とプロパガンダ(宣伝)における目的達成のカギとなるものだ」と説明した。

 チュニジアの首都チュニス(Tunis)では18日、国立バルドー博物館(National Bardo Museum)が武装集団に襲われ、日本人3人を含む外国人観光客20人と警官1人が殺害される事件が発生。ISは19日、同国で起きた事件としては初めて犯行声明を出した。

 チュニジアは2011年以降、イスラム過激派による単発的な暴力事件は起きていたものの、「アラブの春(Arab Spring)」以後の混乱はあまり見られなかった。

 そしてチュニジアの事件からわずか2日後の20日、20日は内戦の危機にあるイエメンのモスク(イスラム礼拝所)2か所で自爆攻撃を実施し、142人を殺害した。

 イラクやシリアで電光石火のごとく勢力を拡大し、残忍で衝撃的な画像を公開してきたISだが、専門家らは、ISが必死に掲げようとしている無敵のイメージが徐々に薄らぎ始めていると指摘する。