【3月9日 AFP】8日のイラン国営メディアによると、2年足らずの間に10人の男性と結婚と離婚を繰り返したとされる20歳の女が結婚詐欺で起訴された。

 巧妙な手口を使ったとされるこの女は、結婚前に夫婦で合意した「メフリエ」と呼ばれる婚資について、女性は結婚後、いつでも「要求して」回収できるとするイスラム法(シャリーア)を突いたとみられている。1979年の革命以降、イスラム法にのっとっているイランでは、花嫁となる女性は婚約者と「メフリエ」の額を設定する。メフリエは通常、金貨に換算される。

 現地紙によると今回起訴された20歳の女は、男性と結婚するとすぐにメフリエを要求していたが、相手と性的関係は持たなかったという。法に違反しないためには男性側はメフリエとして定めた額の半分を払う義務があるが、女はそれよりも少ない金貨100~110枚の支払いで男性たちと合意していた。その後、女はそれぞれの男性たちに離婚するよう圧力をかけていた。

 イランでは離婚した女性は、医師を通じて性交の体験がないことを証明できれば、身分証明書から元夫の名前を消すことができる。女はこの手続きを繰り返し、疑いを持たない被害男性たちに自分の過去を隠していたとされている。

 起訴内容を否認している女は、「元夫」10人全員を呼び出した裁判所の捜査官に対し「なぜ質問に答えなくてはいけないのか、理由が分からない。わたしは無実。わたしの結婚はすべて法律にのっとったものだし、夫たちは全員、自分の意思でわたしと結婚し、お互いの相性の問題で離婚した」と述べた。

 金目当てとみられている女の行動に気が付いたのは、女が頻繁に身分証明書の書き換えに訪れることに疑いをもった首都テヘラン(Tehran)の登記所の職員だったという。(c)AFP