■日程のジレンマ

 欧州サッカーの統括団体である欧州サッカー連盟(UEFA)は、冬開催を支持する考えを示したが、国内リーグに壊滅的な影響が出ることを懸念する主要各リーグとクラブは、今回の提案に反発している。

 スクダモア氏は、「大いに失望している。欧州の各国リーグ、とりわけW杯に大半の選手を送り出す欧州のクラブは、どこも同じ意見だと思う」とコメントした。

 スクダモア氏はさらに、主催する欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)への影響を最小限にとどめたいはずのUEFAが、支持の意向を示したことについても、有力クラブは「がっかりしている」とコメントした。

 フランス・プロサッカーリーグ連盟(LFP)と欧州プロサッカーリーグ(EPFL)の会長を務めるフレデリック・ティリエス(Frederic Thiriez)氏は、今回の提案を「最悪の策」としている。

 ティリエス氏はAFPに対し、「冬開催になれば、11月に13節か14節で中断し、翌年1月に再開することになる。その期間中、選手はプレーできず、クラブには収入が入らず、ファンは国内リーグを奪われ、テレビ局は激怒する」と話した。

 ドイツサッカーリーグ(DFL)のアンドレアス・レティッヒ(Andreas Retting)取締役は、FIFAは「どうすればそれが解決策になるのかを、これから具体的に示さなくてはならない」と話した。ドイツを含めたいくつかの国は、開催時期変更の補償を求めるとみられている。

 スペインリーグも、11-12月開催は国内リーグの通常進行に「甚大な影響」を与えるとコメントした。各国リーグは、W杯ブラジル大会に出場した選手の4分の3が、欧州のクラブの所属だったと主張している。

 さらにFIFAの内部でも、細かな日程については、今後も議論が続く可能性が高い。

 英国出身で、FIFAの副会長を務めるジム・ボイス(Jim Boyce)氏は、冬開催は「常識的な判断」とした上で、決勝をクリスマス直前の12月23日に行うことについては、反対するだろうと話している。

 FIFAは、冬季五輪と重なる1-2月開催の可能性を否定する一方で、欧州のクラブが求める5-7月の開催も、暑さのため実現は難しいと述べている。

 W杯は通常、6月から7月にかけて開催されるが、この時期のカタールの気温は40度を軽く超える。11月から12月になれば、気温は25度前後にとどまる。(c)AFP/David HARDING