【12月28日 AFP】殺人罪で死刑判決を受け、6年間死刑囚として収容された後、冤罪(えんざい)だったと証明された中国人男性が25日、国を相手に1500万元(約2億9000万円)を請求する訴訟を起こした。国営メディアが26日伝えた。

 屋台を経営していた念斌(Nian Bin)氏(38)は、近所の子ども2人を毒殺した罪で2008年に死刑判決を受けて6年間収容されていたが、今年8月に裁判所が有罪判決を破棄し、念氏は釈放された。

 数回行われた控訴審で、念氏の弁護士は、証拠が不十分であること、犯行の自白を強要するために警察に拷問されたことなどを主張していた。

 英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は、念氏の姉の話として、念氏が25日に中国東部福建(Fujian)省の裁判所で中国政府を相手取って1500万元の損害賠償訴訟を起こす手続きを行ったと報道した。この裁判所はかつて念氏の死刑判決を3度支持していた。

 念氏は政府に対し、メディアを通じて公に謝罪することも求めている。念氏の姉は、念氏が逮捕された2006年からの「8年間の歳月をお金で買い戻すことはできない」と話している。

 念氏は、警察での取り調べ中に体をつるされ、犯行を自白するまで殴られたと主張していた。共産党一党支配の中国の裁判制度で無罪判決が下されるのは非常にまれで、昨年1年間に判決を受けた被告のうち99.93%が有罪だった。

 中国では取り調べ中の自白強要が頻繁に行われている上に刑事裁判の被告が十分な弁護を受けられないことも多く、裁判で誤った判決が出ることも多い。(c)AFP