【12月4日 AFP】ポーランドで、氷点下の屋外でパジャマ1枚で一夜を過ごしながら凍死を免れた2歳の男児が「奇跡」と話題になっている。南部クラクフ(Krakow)の病院は3日、男児が快方に向かっていると発表した。

 この男児は先月30日夜、クラクフ北郊の村ラツワビツェ(Raclawice)で、滞在していた祖母の家からさまよい出てしまったとみられている。警察が村の小川のそばで地面に倒れている男児を保護したが、意識不明だった。祖母は、男児がいなくなったことに気付かなかったと話している。

 男児は重度の低体温症に陥っており、体温は一時、12度まで下がっていた。治療を担当した医師らは、男児が凍死しなかったのは奇跡だと述べた。

 3日の主治医の発表によると、男児は治療のための昏睡状態から目覚め、現在はまばたきをしたり、手足を動かしたりするようになっている。まだ人工呼吸器を付けたままだが、主な臓器に異常はない。ただし、脳に何らかの損傷が起きている可能性はまだ否定できないという。

 医師団では4日にも人工呼吸器を外し、男児と一緒に遊ぶことで経過を見たい考えだ。「遊べるようになって初めて、治療が完全に成功したと言えるだろう」と主治医は話している。ちなみに、男児は今のところ「誰に対しても少々不機嫌な態度」を見せているそうだ。

 低体温症の専門家がポーランド通信(PAP)に語ったところよれば、これまで世界で最も劇的な低体温症からの回復事例は、体温が13.7度まで低下した北欧の女性だという。(c)AFP