【11月12日 AFP】サッカーイングランド代表のロイ・ホジソン(Roy Hodgson)監督が、「波乱万丈」なキャリアを送りながらも批判に耐えて成長してきた主将のウェイン・ルーニー(Wayne Rooney)を称賛している。

 29歳のルーニーは、15日にホームのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われる欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)予選のスロベニア戦で、イングランド代表としては史上9人目の100試合出場を達成する。

 これまでに100キャップを達成しているのは、ピーター・シルトン(Peter Shilton)氏、デビッド・ベッカム(David Beckham)氏、スティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)、ボビー・ムーア(Bobby Moore)氏、アシュリー・コール(Ashley Cole)、ボビー・チャールトン(Bobby Charlton)氏、フランク・ランパード(Frank Lampard)、ビリー・ライト(Billy Wright)氏というそうそうたる顔ぶれだが、ルーニーはその仲間入りを果たすことになる。

 ルーニーは浮き沈みの激しかった代表でのキャリアで何度も個人攻撃にさらされてきた。ホジソン監督はBBCラジオ5(BBC Radio Five)で、そうした批判への対処が特に素晴らしいと賛辞を送っている。

 ホジソン監督は「彼は19歳で彗星のように現れた。そしてイングランドサッカーの救世主になった」と話した。

「しかしウェインだってもちろん、いつも救世主でいられるわけではない。しかし、そんなときファンは石や矢を浴びせるように彼を批判した」

「そして、ウェインが非常にレベルの高い完成された選手になったというのに、ファンはまたしても彼を打ちのめそうとするのでひどく忙しい」

「きっとそうしたことが、ウェインを信じられないほど成熟させ、あれだけの精神的な強さをもたらしたんだろう。それこそ、われわれが前に進むために必要な資質だ」

「戦術やテクニックは教えられるかもしれないが、そうした部分はなかなか教えて身につくものではない」

 2006年のW杯ドイツ大会で、ルーニーはポルトガルのリカルド・カルバーリョ(Ricardo Carvalho)を踏んで退場処分となり、ファンを激怒させた。

 また4年後の南アフリカ大会(2010 World Cup)では、アルジェリアを相手に見せ場なく0-0のスコアレスドローに終わった後、ピッチを離れるチームにブーイングが送られると、ルーニーはファンの神経を逆なでするコメントを発している。

 さらに、その2年後の欧州選手権(UEFA Euro 2012)では、予選終盤のモンテネグロとの大一番でミオドラグ・ジュドビッチ(Miodrag Dzudovic)を蹴って退場処分となり、結局、本大会最初の2試合に出場できなかった。

 ホジソン監督は計4得点を記録した2004年の欧州選手権以来、ルーニーが「着実に」進歩してきたと話し、代表でタイトルを獲得していない点が物足りないとの批判に異を唱えた。

「考えてほしいのは、ウェインが29歳で通算100試合出場を達成するという点だ。現代表で一番得点を決めていて、歴代最多のボビー・チャールトンにもあと少し(6点)まで迫っている」

「あの実績は、もっと評価されるべきだと思う」

 6月のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)でも調子の悪さが指摘されたルーニーだが、ホジソン監督は、ルーニーがキャリアの下り坂に入っているとはまったく思っていない。

「大丈夫だ(まだ伸びる)と思っている。安定したパフォーマンスを披露しているし、国のためにプレーすることに特別な思い入れを抱いている選手だ」

(c)AFP