■受け入れ拒否で医療スタッフにも影響

 モンロビア市内の別の場所で緊急医療援助団体「国境なき医師団(Medecins Sans FrontieresMSF)」が運営する治療センターでは、患者の受け入れを拒否しなければならない状態が数日続いた。受け入れを拒む窓口役を担う羽目になったベルギー人スタッフは、病気に苦しみ死にかけている人々を追い返さなければならなかった現実に精神的ショックを受け、任期途中で帰国した。

「いまだかつて経験したことのない最も困難なミッションだと、多くのスタッフが言っている」と、別のスタッフは匿名を条件に話してくれた。それでも9月末になって殺到する患者数はやや緩和された。「市内に新しい診療所ができたおかげだろう」とこのスタッフは語った。

 国際的な援助の取り組みも、ようやく加速する兆しを見せている。バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が各国に支援を呼び掛けた米国は4日、最大4000人の米軍をリベリアに派遣し、医療スタッフの育成や治療センターの増設に当たらせると発表した。国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は、ギニア、リベリア、シエラレオネ3か国に計1億3000万ドル(約142億円)の緊急支援を行うと正式決定した。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)によれば、「モンロビアでは今後2~3週間で、ベッドが1000床以上増える」見込みだ。

 だが、WHOから委託されてモンロビア市内の治療センター建設の指揮をとるジャンピエール・ベランシュ(Jean-Pierre Veyrenche)氏は、人口密度の高いモンロビアでのセンター増設は特に難しいと指摘。「ベッド100床の診療所を設置するには、5000平方メートルの土地が必要だが、湿地帯が広がるモンロビアのような大都市で用地を見つけるのは簡単ではない」と述べるとともに、現場で活動する援助スタッフの増員が必須だと訴えた。(c)AFP/Marc BASTIAN