■2015年総選挙でも「地方分権」が争点に

 英国議会の主要政党は既に、地方の都市・州の自治権拡大を支持すると表明している。与党・保守党と最大野党・労働党は7月、地方自治体の歳出権を拡大する方針を競って発表し、「地方分権」を来年5月の総選挙の主要争点に据えた。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)首相は、「ロンドン一極集中型で超中央集権的」な経済の変革を約束。労働党のエド・ミリバンド(Ed Miliband)党首も「100年におよぶ中央集権化を覆す」と主張している。

 金融の中心地であるロンドンは、経済規模で国内の他の地域を圧倒する。この現状は、ロンドン以外に住む人々の目には、首都が他地域を食い物にして政治を支配しているように映っている。

 こうした不満を背景に支持を伸ばしている欧州連合(EU)懐疑派政党「英国独立党(UKIP)」は、地方自治体での政策立案・決定に住民投票を導入することを公約に掲げている。

 一方、長い紛争の歴史をもつ北アイルランドでは、スコットランドの住民投票をめぐって不安定な和平が危機にさらされる恐れがある。カトリック系民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)のジェリー・アダムズ(Gerry Adams)党首は先に、「いわゆる連合王国はたった1本の糸でつながった」存在であり「住民投票によって崩壊しかねない」と述べている。

 地方分権を専門とする英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)のアラン・トレンチ(Alan Trench)上級研究員は、地方分権化への流れは避けられないと指摘した。

「英国全土で、連合王国の意味や、権力の中枢はどこであるべきかを問う議論が高まっている」「今から20年後の英国は、今日とは全く違う形になっているだろう。もしそうなっていなかったとしたら、とても不幸せで不安定な国だといえる」とトレンチ氏は語っている。(c)AFP/Naomi O'LEARY