【8月8日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)のアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)事務総長は7日、ウクライナの首都キエフ(Kiev)を訪問し、同国東部にロシアが部隊派遣の準備を進めているという懸念が強まる中、ロシアに対し「国境から距離を置く」よう呼び掛けるとともに、ウクライナに対する支援を改めて表明した。

 ラスムセン事務総長のキエフ訪問と時を同じくして、親ロシア派武装勢力が支配しているドネツク(Donetsk)中心部に対し、ウクライナ側が繰り返し砲撃を行っている。これは親ロシア派との戦闘が始まった4か月前から初めてで、付近で民間人十数人が死亡したとされる。

 激しい戦闘と政治的な駆け引きが続く中、ウクライナ軍は同日、マレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便の墜落現場付近での停戦合意を破棄すると発表。前日には、専門家らによる国際調査団が、衝突が続いていることを受けて作業を中断しており、またNATOはロシアがウクライナ国境付近に2万人規模の兵力を集結させていると非難していた。

 ウクライナ指導部との会談後にラスムセン氏は、同氏が「ロシアによる侵略」と呼ぶ行為に対抗するため、「NATOは専門家派遣や援助提供を通じてウクライナを支援していく用意がある」と請け合った。

 さらに、「ロシアに対し、国境から距離を置くよう求める。平和維持を戦争の言い訳にしてはならない」と述べ、ロシアに「分離独立派に対する支援をやめる」よう促した。

 NATOは、「人道的任務」を口実にしたロシアによるウクライナ侵攻を警戒している。これに対しロシアは、部隊を増派しているという主張を退けている。(c)AFP/Sim Sim WISSGOTT with Raphaelle LOGEROT in Donetsk and Anna MALPAS in Zhdanivka