【7月1日 AFP】コソボのサッカークラブが30日、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)でかみつき、出場停止処分となっているウルグアイ代表のルイス・スアレス(Luis Suarez)に対して、前線を強化するための戦力として月給1500ユーロ(約20万8000円)を提示した。

 コソボは、国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)にも欧州サッカー連盟(Union of European Football AssociationsUEFA)にも加盟しておらず、スアレスの国際試合出場停止は適応外となるため、同選手が同国のスーパーリーグでプレーすることは理論上は可能となる。

 コソボの首都プリシュティナ(Pristina)郊外に本拠地を置くKFハイバリア(KF Hajvalia)は、イングランド・プレミアリーグのリバプール(Liverpool FC)に所属するスアレスに条件を提示した書簡を送った。

 同クラブの会長はAFPの取材に対し、「コソボで、あのように有名なサッカー選手がプレーしてくれたら、私たちにとっては非常に大きな一歩になります」と述べた。

「このクラブだけでなく、コソボ全体にとってという意味です」

 同会長によると、チームの提示額は月給1500ユーロで、スアレスがコソボで4か月プレーする間にリバプールには3万ユーロ(約416万円)を補償するという。

 同会長は、「この数字は、彼にとっては滑稽に思えるでしょうが、私たちが提示できる最高の金額です」と述べ、オファーについて、「彼よりも、私たちにとって重要な意味があるのです」とつけ加えた。

「1試合だけでもコソボでプレーし、私たちにワールドクラスのサッカーというものを示すことを受け入れてくれることを願っています」

 昨季スーパーリーグで6位だった同クラブのオーナーは、音楽プロデューサーで大富豪のフォーク歌手が務めている。

 コソボは、2008年にセルビアから一方的に独立宣言を行った。現在では100か国以上の承認を得ているが、ウルグアイからは認められておらず、まだ多くの国際組織にも加盟できていない。

 スアレスは、W杯グループDの最終戦でイタリアのジョルジョ・キエッリーニ(Giorgio Chiellini)にかみつき、大会から追放され帰国した。スアレスには9試合の出場停止と4か月のサッカー活動禁止処分が下されている。(c)AFP