■30年までにアフリカ90%、アジア99%に影響
  
 ナイロビ(Nairobi)に本部を置くアフリカ野生動物保護財団(African Wildlife Foundation)で「アフリカ類人猿計画(African Apes Initiative)」を率いるジェフ・デュパン(Jef Dupain)氏は「これらの問題に効果的に対処できるような保護対策や環境政策を打ち出す必要がある」と話す。

「類人猿の状況:資源採掘産業と類人猿保護(State of the Apes: Extractive Industries and Ape Conservation)」と題された最新の報告書によると、専門家らの予測では、人間による開発が現在のペースで進むと、2030年までにアフリカの類人猿の生息地の90%とアジアの生息地の99%に影響が及ぶという。

 類人猿の全種は、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)により絶滅危惧の指定を受けており、一部についてはその危険性がより高いカテゴリーに分類されている。

 ウガンダ、ルワンダ、コンゴにわたる領域に生息しているマウンテンゴリラの個体数は880匹ほどで、カメルーンとナイジェリアに生息するクロスリバーゴリラの個体数は250匹足らずとみられている。

 アジアでは、スマトラ・オランウータンの個体数が1992年から50%減少していると考えられており、中国・海南(Hainan)島に生息するカイナンテナガザルの全個体数は21匹にすぎない。

「今回発表された『類人猿の状況』報告書の最も重要なメッセージは、生産、消費、人口統計の地球規模のシステムはそれぞれ相互に結びついており、急速なグローバル化は、天然資源と類人猿の生息環境に対して強烈な圧力を及ぼし続けることになるということだ」と当局者らは共同声明の中で述べている。(c)AFP