【6月23日 AFP】背の高いロジャース・アベイロ(Rogers Aveiro)さん(36)はブラジル人で、サッカー・スペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)に所属するポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)選手の遠縁の親戚にあたるが、サッカーが苦手だ。

 一人息子のアベイロさんの家族が農業を営む場所は、カンピーナス(Campinas)にあるポルトガル代表のキャンプ地から車でわずか。少なくとも数週間はスーパースター、ロナウドの間近にいる。ポルトガル代表がカンピーナスをキャンプ地にしているのは、単なる偶然だ。

 アベイロさんは、彼の華々しい縁戚のような自信に満ちた態度とも、ヘアジェルで整えた髪形とも、波打つように鍛え抜かれた肉体とも無縁だ。サッカーも「下手」だという。

 しかし、アベイロ家は家系図を基に、控えめながらロナウドとの血縁関係を主張している。ロナウドのフルネームは「クリスティアーノ・ロナウド・ドス・サントス・アベイロ(Cristiano Ronaldo dos Santos Aveiro)」だ。

 アベイロ家によると、ロナウドとアベイロさんの祖先は、フランシスコさんとジョゼさんという兄弟で19世紀末、ポルトガル領マデイラ(Madeira)諸島に住んでいた。

 20世紀初めにジョゼさんの息子がブラジルに移住し、サンパウロ(Sao Paulo)の北約88キロに位置する土壌が肥沃なカンピーナスで農業に成功。それから約100年後、世界で最も有名なサッカー選手の一人であるロナウドが、サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)のために人口100万人の都市、カンピーナスにやって来た。

 アベイロさんの親戚が昔、耕していた農地の跡に建ったスタジアムで、ロナウドは今週、数千人のファンを前にトレーニングを行った。ロナウドはじめポルトガル代表が宿泊するホテルは、やはりアベイロさんの血縁者が経営する会社のれんがでできている。しかし、アベイロ家からレアル・マドリードのスター選手に接触しようとしたことはない。アベイロさんは公開トレーニングは見学したかったが、チケットは「発売5分で売り切れてしまった」ので入手できなかった。

 ロナウドのTシャツを着たアベイロさんは、自分はサッカーの才能に恵まれていないが、もしもロナウドと対面してサッカーができるとしたら「最高だ」という。ただし、物腰の柔らかいアベイロさんが好きなのは、サッカーばかりか広告界でも引く手あまたのロナウドではなく、ブラジルの地元の選手だ。「今好きなのは、ブラジル代表のフッキ(Hulk)。強靭な選手だね」(c)AFP/Talek HARRIS