【6月20日 AFP】スペインで19日、新国王フェリペ6世(King Felipe VI)が即位した。1975年の王政復古によって復活した同国の王室にまつわる特異な5つのエピソードを紹介する。

■独裁者に指名されたフアン・カルロス1世

 1969年、スペインの独裁者だったフランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統によって、亡命していたアルフォンソ13世(Alfonso XIII)の息子のファン(Juan de Borbon)ではなく孫のフアン・カルロス(Juan Carlos)が後継者に指名される。1975年11月20日にフランコ総統が死去、その2日後にフアン・カルロス1世(King Juan Carlos)が即位。フランコ独裁政権下でスペイン国内を訪れた際には果物を投げつけられたというフアン・カルロス1世だが、即位後はスペインの民主化を推進した。

■銃の事故、目前で実弟が死去

 1956年、ポルトガル・エストリル(Estoril)にあった一家の邸宅で、当時18歳だったフアン・カルロス1世は、実弟のアルフォンソ(Alfonso)王子が銃の暴発で死亡するのを目撃した。当時、2人は銃で遊んでいたとも報じられたが、暴発の原因は今も明らかになっていない。

■クマを酔わせて射殺?

 2006年7月、フアン・カルロス1世がロシア北ウォログダ(Vologda)地方に狩猟旅行に出掛けた際、ウオツカを飲ませて酔ったクマを銃殺したと現地の狩猟当局が発表。これを聞いた当時のスペイン大使館報道官は「ばかげた」話だと一蹴した。

■礼節の欠如?

 2007年11月にイベロ・アメリカ首脳会議(Ibero-American summit)の席で、スペインのホセ・マリア・アスナール(Jose Maria Aznar)首相を「ファシスト」と罵ったベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領(両者とも当時)に対し、フアン・カルロス1世は「黙れ」と言い放った。この物言いに対し、チャベス氏は謝罪を要求した。

■歌詞のない国歌

 19日に即位したフェリペ6世(King Felipe VI)がスペイン議会で宣誓を行う前、スペイン国歌「国王行進曲(Marcha Real)」が流れたが、誰も歌っていなかった。それはスペイン国歌には歌詞がないからだ。同国オリンピック委員会が歌詞を募集したところ約7000件の応募があり、2008年1月に新たな案が発表されたが、「スペイン万歳(Viva Espana)」という文言を含んだ歌詞が、左派などを中心とする猛反発を受け、結局採用されなかった。

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