【6月12日 AFP】ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)大統領率いるチリ政府は10日、同国のパタゴニア(Patagonia)地方で予定されていた大型の水力発電プロジェクトが環境に悪影響をもたらすとして、計画の中止を決定した。

 パブロ・バデニエル(Pablo Badenier)環境相は、政府は「イドロアイセン(HidroAysen)水力発電ダム建設計画の中止を決めた」と発表。これを受け、首都サンティアゴ(Santiago)では多くの市民が歓喜の声を上げた。

 同プロジェクトは、パスクア(Pascua)川とバケル(Baker)の流域にダムを建設するもので、未開墾の土地およそ5900ヘクタールが水没することになっていた。

 計画では複数の発電所が設けられ、同国1750万キロワットの設備容量に新たに275万キロワットの出力が加わることになっていた。

 プロジェクトではまた、中部と北部約2000キロの区間に送電線を引く計画だった。これら地域には人口が集中し、エネルギーを大量に必要とする鉱業が発達している。

 エネルギー資源の輸入依存度の高い同国は、ここ数年、発電業界における設備投資の縮小および供給量の減少、さらには競争の激化による価格高騰などに見舞われてきた。

 しかし、マキシモ・パチェコ(Maximo Pacheco)エネルギー相は「地域居住者に関連する事柄への十分な配慮がなかった。これはプロジェクトを遂行するにあたっての重大な欠陥だ」と述べている。(c)AFP