【5月12日 AFP】メキシコ当局は10日、同国西部で昨年に凶悪な麻薬カルテルに対抗するために発足した自警団を合法化し、制服とアサルト(攻撃用)ライフルの配布を開始した。

 農業が主要産業のミチョアカン(Michoacan)州で自警団が組織された町の1つ、テパルカテペク(Tepalcatepec)では、配布場所に指定された牧場に、多数の農家の人たちが列を作り、州警察の1組織として新設された部隊の青い制服を受け取った。

 新警察部隊は隣接する町ブエナビスタ(Buenavista)でも結成された。同町では昨年2月、警察がカルト集団にも似た麻薬カルテル「テンプル騎士団(Knights Templar)」から住民を守ることに失敗したため、住民らが自ら武器を取ってカルテルに対抗し始めていた。

 町の広場で行われた宣誓式では、新たに任命された約100人の警官が国家を斉唱。政府は後に、450人の警官が就任宣誓したと発表した。

 メキシコ連邦政府は、自警団員らに警察への登録を10日までに行うよう指示しており、その後に武器を不法所持した住民は逮捕すると警告している。しかし、自警団のリーダーらは警察に協力する姿勢を示す一方で、団員の給与や指揮官の選出などについて、まだ警察との協議が必要な段階だとしている。

 当局によれば、推定2万人いるとされる自警団員のうち、3300人以上が登録を終えた。 登録には締め切りが設けられたものの、ミチョアカン州の治安担当責任者、アルフレド・カスティジョ(Alfredo Castillo)氏は、数日間の遅れは認める意向を明らかにしている。

 自警団を組織する動きは約30の自治体に広がり、危険な準軍事組織に発展するのではないかと懸念する声も上がっていた。(c)AFP/Laurent THOMET