【5月8日 AFP】オーストラリア北部で、バンディクートやフクロネコ、ポッサムといった小型有袋類の個体数が激減しており、野生化したネコがその原因とみられるとする報告が7日に発表された。

 野生動物の保護を専門とするタスマニア大学(University of Tasmania)のクリス・ジョンソン(Chris Johnson)教授はAFPの取材に対し、小型哺乳類はオーストラリア全域で絶滅の危機に瀕しているが、北部での個体数の変化は際立っていると指摘。「はっきりしているのは、さまざまな種類の動物の個体数が劇的に減少しているということだ」と述べた。

 科学者らはこの変化を「新たな減少の波」と捉えて議論している一方で、1990年代前半に北部特別地域(Northern Territory)の自然保護区、カカドゥ国立公園(Kakadu National Park)を中心に個体数の減少が顕著になったことは分かっているが、個体数がどれほど急速に減少しているのかははっきりしていないという。

 ジョンソン教授によると、カカドゥ国立公園からはここ数十年間で、ネズミに似たバンディクートやフクロネコ、イタチに似たクロオファスコガレーヌなど約20種におよぶ在来種の小型哺乳類が姿を消し、しかも同じような現象がほかの地域でも場所でも発生している。

 現在の哺乳類の個体数のデータベースを分析した今回の調査結果は、同国の首都キャンベラ(Canberra)で7日に開催された専門家会議で発表された。ジョンソン教授によると、この分析により、異なる種の動物の間で現在起きている絶滅の波と、過去の絶滅現象との比較が可能となり、いくつかの共通点も見いだせたという。

 ジョンソン教授は、現在の絶滅現象が乾燥し開けた場所の地面に生息する小型動物の間で主に発生していることから、18世紀後半に欧州から移住した植民者たちによって持ち込まれたネコが原因であることを強く疑わせるものだと指摘した上で、「同様の絶滅パターンが、オーストラリア南部でキツネなどの捕食動物によって引き起こされたことが分かっている」と述べた。個体数の減少がみられるのはネコが捕食する動物で、「ネコがいない場所では、野生動物は減少していない」という。

 さらにジョンソン教授は、ネコは長い間豪大陸に生息していたことと、動物の個体数減少が比較的最近に始まったことから、なぜネコが時を経て在来種に壊滅的な被害を及ぼす捕食動物となったのかという疑問が残ると指摘。北部地域で大規模な開墾や疫病のまん延があったことを示す証拠がないことを鑑みると、牧畜農家たちによる野焼きが今回の事態に影響を与えたようだとの見解を示している。

「おそらく一つの原因で引き起こされているわけではなく、いくつかの効果が重なり合った結果であることをデータが示している。これらの効果は全て、ネコたちの狩りの方法に有利に働く傾向があり、これによって地上に生息する小型動物は絶滅の危機へと追い込まれている」という。(c)AFP