【4月22日 AFP】米国で、16歳の少年が航空機の車輪格納庫に入り込み、カリフォルニア(California)州から5時間半に及ぶフライトを生き延びてハワイ(Hawaii)に渡ったと、米メディアが21日報じた。

 米連邦捜査局(FBI)関係者が米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)に明かしたところによると、少年が潜伏したのはハワイアン航空(Hawaiian Airlines)機。飛行高度は約1万2000メートルに達しており、気温は氷点下に下がって酸素も不十分だったにもかかわらず、同少年は5時間半に及ぶフライトを無事に乗り切ったという。

 この太平洋(Pacific Ocean)を半分横断する恐怖のフライトについて、FBIのトム・サイモン(Tom Simon)報道官は同紙に対し、「どうやって彼が生き延びたのか分からない。奇跡だ」と語った。

 カリフォルニア州のノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港(Norman Y. Mineta San Jose International Airport)の防犯カメラ映像によると、少年はフェンスを乗り越え、誰にも気づかれることなくハワイアン航空機によじ登ってその車輪格納庫に入った。同報道官によると、酸素不足と低温のため、少年はフライトの「ほぼ全飛行時間にわたって」意識を失っていたとみられるという。

 同機は20日午前、マウイ(Maui)島のカフルイ空港(Kahului Airport)に到着。少年はすぐには目を覚まさず、着陸のおよそ1時間後に意識を取り戻し、滑走路に降り立った。そして駐機場にいた少年をハワイアン航空の職員が発見して警備担当者に通報したと、同紙は伝えている。

 無断で同機に身を隠していたことで、警備規則上の違反はあったものの、少年が同航空会社にとって脅威となったことを示唆する要素はなく、今のところ犯罪としては取り扱われていないという。

 航空機の車輪格納庫への潜伏は全く前例がないわけではないが、多くの場合低温や酸素不足のため死亡しており、全行程を無事に乗り切るのは極めてまれだという。近いところでは2012年、アフリカ南西部のアンゴラで26歳の男性がブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)機の車輪格納庫に入り、同機がロンドン(London)のヒースロー空港(Heathrow Airport)への着陸体勢に入ってから地上に落下し、遺体がロンドン郊外の路上で見つかったことがある。(c)AFP