【3月22日 AFP】20年以上前に30人以上を殺害したと自白して有罪となり北欧で最も凶悪な連続殺人犯とされた男性が、自白を撤回し殺人の罪も全て取り下げられ、19日に収容されていた精神医療施設から釈放された。

 トーマス・クイック(Thomas Quick)の名で知られていたストゥーレ・ベルグワール(Sture Bergwall)元受刑者は1990年代初め、30人を殺害したと告白。このうちの8件の殺人について有罪となり終身刑の判決を受けた後、スウェーデン北部の精神医療施設に収容されていた。

 裁判所は、ベルグワール元受刑者は現在も「人格障害」に悩まされているが、施設などに収容しておく必要はないとして、元受刑者の釈放を命じた。釈放に際しては、アルコール類や薬物摂取の禁止、定期的な治療、新居に移った後も地元当局の支援を受けることなどの条件が課されている。

 ベルグワール元受刑者は近年、定期的にブログやツイッター(Twitter)への投稿を続けており、さらに北の山岳地域に引っ越し自身の経験を本につづることなどを計画していると書き込んでいた。

 19日には「私が無罪放免になったということは、司法の不祥事があったということだ。私が施設に収容されたのは私自身の精神衛生上の問題ではなく、判事たちや施設の名声のために行われた」と書き込んでいる。

 1976年から1988年の間に起きた8件の殺人事件について、全てベルグワール元受刑者による犯行とみなして早急に下された有罪判決は、現代スウェーデンにおける司法最大の誤審とみなされている。

 ベルグワール元受刑者は武装強盗事件で有罪判決を受けた後の心理カウンセリングで、これら8件の殺人について自身の犯行だと認めた。さらに元受刑者はノルウェーやフィンランドでも殺人を犯したと語ったが、これらについては起訴されていない。

 ベルグワール元受刑者は「自白」した殺人について被害者を殺害した経緯を詳細に語り、被害者の体の一部を食べたこともあるなどと語っている。

 だが2008年になってベルグワール元受刑者は突如、すべての自白を撤回。当時は世間の注目を集めたいと切望していたうえ、医師によって大量の薬剤を投与されていたと語り始めた。

 2013年7月には、それまで残っていた最後の殺人についても無罪が認められ、今月19日の釈放に至った。

 野党の有力議員や司法の専門家らは、証拠不十分であったにもかかわらず裁判所がベルグワール元受刑者を有罪とした経緯を検証する独立調査委員会の設置を求めている。(c)AFP