【3月6日 AFP】サッカー国際親善試合は5日、各地で行われ、コソボはハイチと0-0で引き分けた。

 セルビアから独立して6年目を迎え、青と白のユニフォームに身を包んだコソボ代表は、この試合で1点も挙げることはできなかったが、アデム・ヤシャリ・スタジアム(Olympic Stadium Adem Jashari)に集まった1万7000人の観客はそれでも温かい拍手を送った。

 コソボ代表GKサミル・ウイカニ(Samir Ujkani)は、「素晴らしかった。得点できていれば完璧だったんだけどね」と試合を振り返った。

 2008年にセルビアから一方的に独立宣言を行って以降、コソボは長い間すべてのスポーツにおいて国際舞台に出ることができなかったが、ハイチとの試合はその障壁を打ち破るものになった。

 コソボは新たな国家として、米国と欧州連合(European UnionEU)28か国のうち23か国を含めた100か国以上に承認されているが、セルビアとその長年の同盟国ロシアには認められていない。

 セルビアはコソボの国連(UN)加入に激しく反対してきた。その結果、コソボはFIFAや、そのほか多くの国際スポーツ組織に加盟することができていない。

 しかしながら、コソボサッカー連盟(Football Federation of KosovoFFK)のファディル・ボクリ(Fadil Vokrri)会長のロビー活動や、セルビアサッカー界との長年の交渉が実り、1月13日にFIFAが開いた理事会でコソボ代表チームの試合にゴーサインが出された。

 コソボのアティフェテ・ヤヒヤガ(Atifete Jahjaga)大統領とハシム・サチ(Hashim Thaci)首相は試合前、上空に豪華な花火が打ち上げられるなか、ピッチ上で代表チームの選手と握手を交わした。

 関係者によると、チケットは3ユーロ(約420円)から10ユーロ(約1400円)で販売されたが、わずか7時間で売り切れてしまったという。

 闇市場ではチケットの価格が10倍までつり上げられたが、これは人口180万人のうち失業率が35パーセントを超えるコソボ国民の多く人たちにとっては手の届かない価格だ。

 コソボ国旗に包まって応援に訪れた21歳の学生は、「このイベントを見逃すわけにはいかないよ。これはただの試合じゃなくて、歴史なんだから」と語る。

 セルビアが今回の決定に反対しないようにするため、この試合ではFIFAの要請でコソボの国旗掲示と国歌斉唱は認められなかった。それでも、ファンが国旗や国のシンボルマークを下ろすことはなかった。

 53歳のファンは、コソボ代表を応援できる喜びをかみしめた。

「本当に幸せ。人生で初めて、自国の代表チームに向けて『コソボ、コソボ』と合唱することができたよ」

(c)AFP