■垂涎の一大プロジェクト

 新運河の建設開始から開通した後の最初の数年まではニカラグアの国内総生産は年11%近く増え、約100万人の雇用を創出すると試算されている。約600万人の国民の45%が貧困状態にあり、失業率が53%に上るニカラグアにとってまさに垂涎(すいぜん)の一大プロジェクトだ。

 計画推進派は、完成から今年で100年となるパナマ運河より大きくなる新運河は、パナマ運河と競合するのではなく、パナマ運河を補完する存在になるだろうと主張する。HKNDの王氏は「われわれは国際的な笑いの種になるつもりはないし、中国の投資の失敗例になりたくもない」と意気込みを示す。

 しかし懐疑論も多い。英ロンドン(London)で海運仲立業バンチェロ・コスタ(Banchero Costa)の研究部門を率いるラルフ・レシチンスキー(Ralph Leszczynski)氏は、「新運河をニカラグアに通すことは全く正当化できない」と断言する。「既存のパナマ運河はよく機能しているし、大型船のために拡張も進んでいるではないか」

 ニカラグア政府は、新運河は大型船が接岸できる大水深港湾や空港、石油パイプライン、鉄道も建設する必要があり、完成までには6~10年かかるとしている。(c)AFP/Julia RIOS