■見られ始めた変化

 縫合による副作用には、尿の滞留、生理の妨げ、痛み、出血、出産時の合併症などがあり、こうした問題のために女性器割礼は問題視されてきた。

 ソマリランドの中心都市ハルゲイサ(Hargeysa)では少なくとも現在10代の少女たちの多くが、「ファラオニック」より軽い部分的な割礼を選んでいる。ただ、それでも陰核の切除は免れない。

 彼女たちの母親も自身が耐え難い痛みを経験したため、こうした慣習の変化を支持している。

「変化がみられる。今では割礼されていない少女と結婚したがる男性もいる」と、村の長でイスラム教徒であるモハメド・サイード・モハメドさんは語る。「私は完全に割礼に反対だ。私たちの宗教では受け入れられていない」

 女性器割礼を人権侵害とみなす世界保健機関(World Health Organization、WHO)によれば、この慣習が行われているのは、アフリカと中東地域の29か国に集中している。文化や社会、宗教的な背景が要因となり、世界1億2500万人以上の女性が女性器割礼を経験しているという。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)で働くCharity Koronyaさんは、あらゆる形態の女性器切除が禁止されるべきだと訴える。「部分的な切除でも人権侵害に当たる」と話す彼女自身もケニアで伝統的に陰核切除を行う地域の出身だ。

 イスラム法で女性器切除が規定されているかは論争の的となっており、聖職者のなかにも迷いがみられるという。(c)AFP/Helen VESPERINI