■刑期を終えると、世間から冷遇

 出所したパワーズさんにとって、住む場所を見つけることはほとんど不可能だった。フロリダ州法は、学校または遊び場、公園の周囲1000フィート(約300メートル)に性犯罪者が暮らすことを禁止している。

 条件を全てクリアする住宅を見つけることができたとしても、性犯罪者へ住宅を貸すことを拒否する家主は多い。結果として、フロリダ州の多くの性犯罪者が、橋の下や自然の中で野宿しているとみられている。

 だが新たな人生を歩み出す障害となるのは、居住要件だけではない。

 米各州は性犯罪歴がある人物の住所と個人情報をウェブサイトで市民に公開している。これによって就職は特に困難になる。毎日スーパーへ買い物に行くことさえ悩みの種になることもある。

「ウォルマート(Wal-Mart)のような店やスーパーに行くと、入ったとたん、そこに掲示板があって、そこに自分の写真が貼ってある。誰かに見られると──その次には警官に取り囲まれている。どこに行っても、そういう目に遭うんだ」と、住民のデビッド・ウッズ(David Woods)さんは語る。