【2月6日 AFP】太平洋を13か月間漂流しながら、生魚を食べ、カメの血を飲んで生還したホセ・サルバドール・アルバレンガ(Jose Salvador Alvarenga)さんは、漂流する以前から生魚やカメの血をよく摂取していた──。メキシコの同僚の漁師たちがそう語った。

 メキシコ南部チアパス(Chiapas)州の潟沿いの村、チョコウイタル(Chocohuital)に暮らす漁師たちは、アルバレンガさんの奇妙な食生活をよく記憶しており、アルバレンガさんの仰天のストーリーに信ぴょう性を感じると語る。

「ラ・チャンチャ(雌ブタ)」の通称で知られる、がっしりした体つきのアルバレンガさんは、何でもぺろりと平らげてしまう人物だったという。

「えり好みするタイプじゃなかった。何でも食べた。漁の餌に使ってたイワシをつかみとった彼に、私たちは『だめだ、チャンチャ!』と言ったが、彼はかすれた声でこう言ったものだった。『いいんだ。何でも試さないといけない』」

 アルバレンガさんのボスだというベラルディーニョ・ロドリゲスさんはこう語った。「それが彼を救ったのだろう」

■何でも食べたのは海難対策?

 先週、小さなテレビにふさふさとしたひげを蓄えてゆっくりとした足取りで歩くアルバレンガさんの姿を発見した漁師たちは驚きおののいた。

 大海を漂流して食料に苦労していたはずなのアルバレンガさんは、ふっくらしているように見えた。だがロドリゲスさんは、アルバレンガさんは行方不明になる前は筋骨たくましい男性だったと語る。

 専門家らはアルバレンガさんの生還は理論的には可能だと述べているが、多くの人にとってその長旅はにわかに信じがたいものかもしれない。

 だが、チョコウイタルの友人たちは違う。