【2月5日 AFP】北欧の国スウェーデンに、松ぼっくりやコケ、食品廃棄物といったバイオマス資源を燃料に用い、街ぐるみで持続可能な暮らしを追求している都市がある。美しい湖と深い松林に囲まれた同国南部のベクショー(Vaexjoe)市は、再生可能エネルギー、環境負荷の少ない輸送手段、省エネなどで他に例を見ないほど徹底した先進的な環境政策で知られ、「ヨーロッパで最も環境に優しい都市」を自負する。

 市議会議員のヘンリク・ヨハンソン(Henrik Johansson)氏(39)は「私たちは非常に早い時期に環境問題に着手した。議員たちは、街の発展を望むなら、18世紀の繊維産業や市街地の拡大によって汚染されていた湖の浄化が必要なことに、1960年代には気付いていた」と話す。

 当時、最も汚染がひどく、不快な臭いでは18世紀から有名だったトルーメン湖(Lake Trummen)の再生は、さらに野心的な環境プロジェクトを前進させる役目を果たしたという。「私が子どもの頃は、この湖で泳ごうなんて思いもしなかったが、今なら泳げる」とヨハンソン議員はいう。「はっきりと見えたこの変化は、住民の心に焼き付いた。本気で何かをしたいと思って全力で取り組めば、達成できることが示されたからだ」

 1990年代、地球温暖化がまだマスコミに大きく取り上げられていなかった頃、ベクショー市の市議会は、2030年までに化石燃料の使用をゼロにし、20年以内に二酸化炭素(CO2)の排出量を半減させる計画を発表した。「グリーン目標」として他にも、地元農家に有機栽培を奨励し、市民全員に紙の使用量削減を呼び掛け、自転車や公共交通の利用を促進した。

 現時点でベクショー市のCO2排出量は1993年比でほぼ半減。住民1人当たりの排出量は年間2.7トンと欧州で最も低い水準で、国全体としても低水準を誇るスウェーデンの国内平均のほぼ半分となっている。