【1月16日 AFP】内戦が続くシリアへの人道支援を協議する会合が15日、クウェートの首都クウェート市(Kuwait City)で開かれ、参加した各国政府が総額24億ドル(約2510億円)以上の支援金拠出を誓約した。これは、国連(UN)の求める65億ドル(約6800億円)の支援額の半分にも満たない。

 シリア内戦の政治的解決を目指す和平会議「ジュネーブ2(Geneva II)」を1週間後に控え開かれたこの会合には、約70か国と24の国際組織が参加。会合の終了に当たり潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長は「総額24億ドル以上の誓約を得た」と述べた。

 だが国連は、単独の緊急人道支援としては史上最高額とされる65億ドルの拠出を求めている。その内訳は、シリア国内の内戦被害者930万人の支援に23億ドル(約2407億円)、また今年末には410万人へと倍増すると予想される難民の支援に42億ドル(約4396億円)。

 当局者や人権擁護・援助団体は、シリア情勢の悪化に落胆を表明している。

 潘事務総長自身も「シリア総人口の半分に当たる930万人近くが緊急に人道援助を必要としている」と述べ、300万人以上が国外脱出したと指摘。「特に(シリア国内での)飢餓の報告に、懸念を抱いている」と表明した。

 また、欧州連合(EU)のクリスタリーナ・ゲオルギエヴァ(Kristalina Georgieva)援助担当欧州委員は「人道的状況はさらに悪化しており、改善は全く見られない」と述べている。

 シリア国内の戦闘が激しさを増し、交渉による解決の見通しも立たない中、人権擁護・援助団体は緊急資金が必要だと強調している。

 主な援助国の拠出誓約額としては、クウェートが5億ドル(約522億円)、米国が3億8000万ドル(約397億円)の追加援助で総額17億ドル(約1778億円)、サウジアラビアとカタールはそれぞれ6000万ドル(約62億7000万円)の追加援助、アラブ首長国連邦(UAE)もほぼ同額を誓約、英国が1億ポンド(約171億円)、日本は1億2000万ドル(約125億円)などとなっている。(c)AFP/Omar Hasan