【12月13日 AFP】平均値を下回る積雪、海氷の融解、トナカイやカリブーの減少などが今日の北極圏の新たな「日常」だとする報告書を12日、米海洋大気局(US National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)が発表した。

 NOAAの「北極圏報告カード(Arctic Report Card)」2013年度版によれば、今年は12年ほど極端ではなかったが、地球温暖化の進行はこうした変化がこれからも続くことを表している。

 NOAAのデービッド・ケネディ(David Kennedy)氏は「2013年の北極圏では、最近の記録的な暑さは小休止したが、それによって過去30年間にわたる長期的な(温暖化)傾向が相殺されるわけではない」と語った。

 報告によれば、今年の夏、北極圏の大半では、海氷の後退が著しかった過去6年に比べて涼しかった。しかし北極圏のすぐ外側に位置する米アラスカ(Alaska)州フェアバンクス(Fairbanks)では、27度を超える暑さの日が過去最高の36日あった。

 9月の海氷の量は、観測が開始された1979年以来、6番目の少なさで、過去7年間の傾向が続いている。また海面の温度は1982~2006年の平均を上回った。またツンドラ地帯で植物が成長する期間は、10年間につき9日ずつ延びている。

 グリーンランドでは氷床の44%が融解したが、97%を記録した昨年よりは少なかった。トナカイやカリブーの頭数は「異常なほど」少なかった一方で、保護の対象となっているジャコウウシの頭数は多くなっていた。

 今年の報告の編集責任者であるマーチン・ジェフリーズ(Martin Jeffries)氏は「北極の環境システムが新たな段階に向かっていることを示す、広範で持続的な変化の強力な証拠を『北極圏報告カード』は提示している」と述べている。(c)AFP