【10月22日 AFP】ギリシャ中部にある少数民族ロマの居住キャンプで血縁関係のない白人少女と共に暮らしていたロマ人夫婦が21日、この少女を誘拐した罪で起訴された。「金髪の天使」の愛称で呼ばれるこの少女については、これまでに行方不明児童の親から数千件に及ぶ問い合わせが寄せられている。

 弁護士によると、起訴されたロマの男(39)とその妻(40)は、同国中部ラリッサ(Larissa)の裁判所によって勾留が命じられた。有罪になれば禁錮10~20年が科される。

 警察は16日、同国中部の町ファルサラ(Farsala)で、「マリア」と呼ばれる緑色の目をした金髪の少女を発見。DNA鑑定により少女と夫婦とは血縁関係がないことが確認され、夫婦は逮捕されていた。

 少女の年齢は当初4歳と伝えられていたが、現在少女を保護している同国の慈善団体「スマイル・オブ・ザ・チャイルド(Smile of the Child)」の代表が地元メディアに語ったところによると、歯科検診の結果、実際の年齢は5~6歳とみられることが分かったという。

 警察は少女が誕生直後に誘拐された可能性があるとみているが、夫婦は、実母のブルガリア人女性が少女を育てられないために手放したと主張している。

■不法な養子あっせんがはびこるギリシャ

 出生率が低い上、養子縁組の手続きが煩雑なギリシャでは、不法な養子あっせんがまん延しており、中には児童が人身売買されるケースもある。国営アテネ通信(Athens News Agency)が21日に伝えた警察のデータによると、仲介者は児童1人当たり1万5000~2万ユーロ(約200万~270万円)を請求するのが相場になっているという。また、ブルガリアに暮らす貧しいロマ家庭に対しては、人身売買組織が男児に3000ユーロ(約40万円)、女児には2500ユーロ(約36万円)の支払いを持ち掛けることもあるとされる。

■不明児童の親からの問い合わせ殺到、日本からも

 少女の発見が世界各地のメディアで報じられて以降、「スマイル・オブ・ザ・チャイルド」には、20日夜までに電話での問い合わせが8000件以上、電子メールも数千件が寄せられているという。同慈善団体の心理学者が地元テレビ局「スカイ(Skai)」に話したところによると、電話照会は日本や南アフリカからもあった。(c)AFP/Sophie MAKRIS