【8月25日 AFP】報道の自由の重要性が認識されず保障もされていない国で、勇気と倫理観を持って活動するジャーナリストを表彰する「ピーター・マックラー勇気倫理ジャーナリズム賞(Peter Mackler Award for Courageous and Ethical Journalism)」の今年の受賞者に、政権批判や人権問題に関する発言を理由に拘束された経験を持つスーダンのジャーナリスト、ファイサル・モハメド・サリフ(Faisal Mohammed Salih)氏(53)が選ばれた。グローバル・メディア・フォーラム(Global Media Forum)と国境なき記者団(Reporters Without Borders)米国支部が22日発表した。

 サリフ氏はベテランの記者およびコラムニストとして、スーダン国内の幅広い出版物に執筆。ジャーナリストの研修を行うスーダンの非政府組織(NGO)「ティーバ・プレス(Teeba Press)」のプログラムディレクターも務めている。

 サリフ氏は2012年、中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)のインタビューでオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)大統領率いるスーダンの現政権を批判した後に数日間拘束された。11年には若い女性活動家が性的暴行を受けたとされる事件を非難したところ、他の記者らとともに当局の取り調べを受けた。

 ピーター・マックラー賞は、フランス通信(Agence France-Presse、AFP)の記者および編集者だった故ピーター・マックラー(Peter Mackler)氏の功績をたたえて設立され、今年で5年目。

 マックラー氏はAFPで30年以上にわたって働くとともに、ジャーナリスト研修やメディアを社会変革手段として活用するNGOを支援するグローバル・メディア・フォーラムを創設。08年6月に心臓発作のため58歳で死去し、この月に同賞が創設された。

 今年のピーター・マックラー賞の授賞式は10月24日、米ワシントン(Washington D.C.)市内のナショナル・プレスクラブ(National Press Club)で行われる。(c)AFP