【7月16日 AFP】移民反対を掲げるイタリアの野党「北部同盟(Northern League)」の上院議員が、4月に同国初の黒人閣僚となったセシル・キエンゲ(Cecile Kyenge)移民融和担当相をオランウータンと比較する発言をし、激しい批判にさらされている。

 ロベルト・カルデロリ(Roberto Calderoli)議員は13日、北部トレビリオ(Treviglio)で開かれた党集会で、「動物は大好きだ…だが、キエンゲ大臣の写真を見ると、オランウータンとの類似点について考えずにはいられない」と発言したとされる。

 この発言はソーシャルメディア上で瞬く間に広まり、カルデロリ氏に批判が殺到した。エンリコ・レッタ(Enrico Letta)首相は14日、「容認できる発言ではなく、いかなる限度も超えている」との公式声明を発表。中道左派・民主党(PD)の2議員からは、上院副議長を務めるカルデロリ氏の辞職を要求する声も上がっている。

 カルデロリ議員はその過激な言動で以前から知られている。シルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相(当時)の下で閣僚を務めていた2006年には、イスラム教の預言者ムハンマド(Mohammed)の風刺画がプリントされたTシャツを着たことにより、辞任に追い込まれた。

 コンゴ民主共和国(旧ザイール)出身で、移民の両親のもとに生まれた子供たちの市民権獲得を容易にする法制度改革を推進しているキエンゲ移民融和担当相は、今年4月の就任以来、北部同盟からの度重なる攻撃にさらされている。

 15日は移民政策関連の会議のためにキエンゲ氏が訪れていた北部ペスカーラ(Pescara)で、絞首刑用の縄の輪が街灯柱につるされているのが見つかった。移民政策を批判する極右組織「新しき力(Forza Nuova)」のスローガンが書かれたポスターもあったことから、警察は同組織に対する捜査を開始した。(c)AFP