【7月9日 AFP】バングラデシュのディプ・モニ(Dipu Moni)外相は8日、同国で4月に起きた縫製工場での崩壊事故を受け、従業員の権利向上と工場における安全性の改善を約束した。欧州連合(EU)は、バングラデシュが十分な改善を行わなかった場合、貿易上の優遇措置に悪影響が出る可能性もあると忠告していた。

 同外相はスイス・ジュネーブ(Geneva)で記者会見し、バングラデシュが「従業員の権利が守られ、安全な環境で、まっとうな労働条件と適切な賃金で働ける」縫製産業の中心地となるように取り組んでいくと述べた。

 バングラデシュ政府は同日、EUが提案した「持続可能性の協定」に合意した。労働者の権利と工場の安全性改善が目的で、労働組合の権利を守ることや、今年末までに調査官を200人増員し、全国で800人にすることなどが含まれている。

 国際労働機関(International Labour OrganizationILO)も携わるこの協定は、4月に同国の複合施設ラナプラザ(Rana Plaza)で起きたビル崩壊事故のような悲劇を繰り返さないことを目指す。この事故では1129人が死亡し、世界で起きた中でも最悪の産業事故の1つとなった。

 バングラデシュ議会は今月、縫製工場での労組の設立を容易にし、事故に巻き込まれた作業員に補償を与える法案を可決する見込み。欧州委員会のカレル・デフフト(Karel de Gucht)委員(通商担当)は、この新法の施行が最初の重要なステップとなると述べている。

 バングラデシュ政府の取り組みの見返りとして、EUはラナプラザの事故で永続的な障害が生じた人々への支援や、中国に次ぐ衣料品輸出国となっているバングラデシュの労働基準を改善させるための技術支援の拡大を約束している。(c)AFP