【7月3日 AFP】ポルトガルのパウロ・ポルタス(Paulo Portas)外相が2日、辞表を提出した。景気後退に苦しむ同国では前日に財務相が辞任したばかりだった。財政再建のための緊縮策を推進する政府方針をめぐり、閣僚2人が辞意を表明したことで、同国では政治危機の様相がいっそう強まった。

 ポルタス氏は、ペドロ・パソス・コエリョ(Pedro Passos Coelho)首相率いる与党・社会民主党と連立を組む保守派・民衆党(CDS-PP)党首。

 1日には、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による金融支援の下で改革を主導してきたビトル・ガスパール(Vitor Gaspar)財務相の突然の辞任が明らかにされ、選挙の前倒しを求める声が上がっていた。

 一方、コエリョ首相はポルタス外相の辞任については認めていないとしている。「政情不安をもたらす恐れ」があるため「この辞表を受理するには時期尚早だ」とテレビ演説で述べた。

 ポルタス外相は辞表の中で、(国営企業の)民営化政策を推進してきたマリア・ルイス・アルブケルケ(Maria Luis Albuquerque)国庫庁長官を新財務相に指名した首相の決定に賛同できないと述べている。

 コエリョ首相によるこの後任人事は、政権批判と社会不安の火種となっている緊縮路線の継続を明示するものと解釈されている。(c)AFP