【4月17日 AFP】ロシア・サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)市の病院で輸血を受けた生後16か月の女児が、エイズウイルス(HIV)に感染していたことが分かった。捜査当局は15日、刑事事件として捜査を開始したことを明らかにした。

 市の調査委員会によると、女児は市内の第5小児病院で輸血を受けたが、その血液はHIV感染者が献血したものだった。今後、女児は長期にわたって抗レトロウイルス治療を受けることになる。

 女児はおもちゃに使われていた磁石6個を誤って飲み込んだが、医師らが誤飲に気付くまでに約1週間かかり、生死に関わる腹膜炎を発症して手術を受けた。

 ロシアのチャンネル1(Channel One)テレビによると、同市輸血センターの主任医師は、HIV検査が終わっていない輸血用血液を使った担当医の人為的ミスだと話している。担当医らは子どもに危険な医療サービスを提供した罪で最長で6年の禁錮刑を受ける可能性がある。別の当局者によると、この血液を提供した女性が献血したのは初めてで、本人はHIVに感染していることに気付いていなかった。

■輸血用血液不足で手術の延期も

 ロシア連邦AIDSセンターによると、ロシアでは1987年から献血血液のHIV検査が実施されている。これまでに報告された輸血でHIVに感染した例は50件に満たないという。HIV感染者の血液を輸血された患者はほぼ間違いなく感染する。

 昨年11月に発表された最新の公式統計では、ロシア国内でHIV陽性として登録されている人は70万3731人に上っている。これは人口の0.4%にあたり、HIV感染者の割合は注射針の共有などによる感染拡大で上昇傾向にある。

 モスクワ(Moscow)やサンクトペテルブルクでは献血のドナー不足が深刻で、必要な輸血用血液を探すため手術が延期されることも珍しくない。(c)AFP