【2月19日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)のロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)は18日、チームをリーグ屈指の名門に育て上げたオーナーのジェリー・バス(Jerry Buss)氏が死去したと発表した。80歳だった。

 米カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)市内にあるシダーズ・サイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Center)によると、バス氏は18日午前5時55分に息を引き取ったと発表している。

 バス氏はがん闘病のため入院したと先日報じられていたが、がんの種類は明らかにされていない。

 コート内外における的確な人事力とショービジネスの才覚を併せ持ったバス氏により、レイカーズはロサンゼルスで最大規模の観客動員数を獲得する人気チームになった。

 レイカーズの人件費はNBA最高となる約1億ドル(約93億7900万円)とされているが、米経済誌フォーブス(Forbes)によると、資産価値は10億ドル(約937億9000万円)でニューヨーク・ニックス(New York Knicks)に次いでリーグ2番目とされている。

 17日に行われた第62回NBAオールスターゲーム2013(2013 NBA All-Star game)に出場したレイカーズのコービー・ブライアント(Kobe Bryant)は、NBAとバスケットボール界に対するバス氏の貢献は「計り知れない」と評価し、その手腕を称えた。

「明確にする方法はないが、彼に匹敵する功績を残した人を探し出すの難しい。彼は一貫して結果を出し続けた理想形だ」

■NBA史上最も成功を収めたオーナーのバス氏

 1933年1月27日にユタ(Utah)州ソルトレークシティー(Salt Lake City)で生まれたバス氏は、ワイオミング大学(University of Wyoming)で科学を学んだあと、南カリフォルニア大学(University of Southern California)の化学専攻で博士号を取得した。

 航空業界を経た後、不動産業のベンチャー企業を立ち上げたバス氏は、1979年にジャック・ケント・クック(Jack Kent Cooke)氏からレイカーズとNHLのロサンゼルス・キングス(Los Angeles Kings)、当時両チームの本拠地だったザ・フォーラム(The Forum)を6750万ドルで買収した。

 それまでの25年間でレイカーズが王者に輝いたのは1度だけだったが、バス氏のオーナー就任1年目にタイトルを獲得すると、その後の8年間で4度の優勝を飾っている。
 
 マジック・ジョンソン(Magic Johnson)を中心としたスピード感溢れる攻撃は「ショータイム」と呼ばれ、米俳優のジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)をはじめとする多くの固定ファンを獲得した。

 また、レイカーズはNBAで初の女性ダンスチーム「レイカー・ガールズ」を結成し、他チームの見本となった。

 2000年から2002年にかけてレイカーズは、シャキール・オニール(Shaquille O' Neal)とブライアントを中心に3連覇を達成した。現在もチームの主軸として活躍するブライアントは、2009年と2010年にもファイナル連覇を成し遂げている。

 バス氏のことを大きな影響を受けた恩人だと話すブライアントは、「自分の経歴に欠かせない人物だ。リスクを承知で高校を卒業したばかりの17歳の少年を獲得し、その後もずっと信じ続けてくれた」とコメントした。

「バスケットボールの試合で『ショータイム』をブランド化したことでリーグを成長させた。レイカーズとボストン・セルティックス(Boston Celtics)のライバル対決にしてもそうだし、こうした商業価値が世界的人気につながった」

 バス氏がオーナーに就任して以降、レイカーズは33年間でプレーオフに31回進出している。バス氏がオーナーとして勝ち取った10回の優勝はNBA史上最多で、2010年にはバスケットボール殿堂入りも果たした。

 バス氏はすでにチームの運営を家族に任せており、息子のジム・バス(Jim Buss)氏が球団副社長を、娘のジニー・バス(Jeanie Buss)氏が経営部門の副社長を務めている。(c)AFP