【12月28日 AFP】2012年のサッカー界では、欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)で息を飲むような熟練さを見せて優勝を飾ったスペインが、サッカー史上最強の代表チームであることを証明した。

■主要国際大会3連覇を果たしたスペイン

 7月1日にウクライナのキエフ(Kiev)で行われた欧州選手権決勝でビセンテ・デル・ボスケ(Vicente del Bosque)監督率いるスペインは、イタリアを4-0で下し大会連覇を果たすと同時に、史上初めて主要国際大会3連続制覇を遂げた。

 フランスとの準々決勝で2-0と勝利し、準決勝ではライバルのポルトガルをPK戦で退けたスペインだったが、その決勝までの道のりの中で、細かいパスを繋げるプレースタイルに批判が集中し、スペインのサッカーは機械的で「退屈」になったと攻められた。

  そんな冷ややかな意見もあったものの、決勝ではシャビ・エルナンデス(Xavi Hernandez)や大会最優秀選手(MVP)に輝いたアンドレス・イニエスタ(Andres Iniesta)が批判を払拭するようなプレーを見せ、スリル溢れる試合内容でイタリアを倒した。

 欧州王者となったスペイン代表は、早くも気持ちを切り替え、2014年サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)を目標に定めている。

■W杯開催を控え不安つのるブラジル

 1950年以来となるW杯を主催するブラジルは、同年の決勝でウルグアイに衝撃の敗北を喫したことを今でも引きずっているが、この過去の呪いを祓うべく、開催国として大会に臨む。

 ブラジル大会の開催準備が遅れていることを受け、国際サッカー連盟(FIFA)のジェローム・バルク(Jerome Valcke)事務局長は、W杯運営委員会の「尻を蹴り上げる」必要があると発言したが、現在はFIFAもブラジル国内の準備経過に満足しており、バルク氏はこの発言について謝罪した。

 しかしW杯の予行練習とも呼べるコンフェデレーションズカップ2013(Confederations Cup 2013)を目前に控えた今、ブラジルのチーム自体が準備不足なのではないかという懸念が浮上している。

 8月に行われたロンドン五輪の決勝ではメキシコに敗れ、悲願となっている金メダルを逃すなど、ブラジル代表にとって2012年は苦難を強いられる年だった。

 結果的にマノ・メネゼス(Mano Menezes)氏がブラジル代表監督の座から降りることとなり、後任としてルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)氏が新指揮官に任命された。2002年サッカーW杯日韓大会(2002 World Cup)でブラジルを優勝に導いているスコラーリ監督だが、ブラジルの6度目のW杯制覇は困難になると予想される。

 ブラジルにはサントスFC(Santos FC)に所属するネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)という輝かしい才能が存在している反面、代表としての経験を持つ選手が少ない。それでもスコラーリ監督は、そのような言い訳は通用しないと理解しており、「ホームでの戦いになるんだ。我々には勝利する責任がある。そして選手達も母国で優勝トロフィーを得る事の大切さを熟知している。現在はまだ優勝候補に挙がっていないが、本大会には優勝候補になるつもりだ」とコメントした。

 開催国として出場が決まっているブラジルが不在のW杯南米予選では、アルゼンチンが首位につけており、ブラジルの目の上のたんこぶとなっている。

 そのアルゼンチン代表のリオネル・メッシ(Lionel Messi)は、今年9つの国際試合で12得点を挙げて、スペイン1部のFCバルセロナ(FC Barcelona)で見せている好プレーを代表戦でも披露した。

■クラブW杯で最新テクノロジー導入

 2012年初頭にガボンで行われた2012アフリカネイションズカップ(African Nations Cup 2012)の決勝で、劣勢と言われていたザンビアがPK戦でディディエ・ ドログバ(Didier Drogba)擁する強豪コートジボワールを破る金星を飾り、初の大会優勝を果たした。

 各大陸の選手権でも初優勝は相次ぎ、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)、ブラジルのコリンチャンス(Corinthians)、韓国の蔚山現代(Ulsan Hyundai)が初めてそれぞれの大陸で頂点に立った。

 日本で開催された12クラブW杯(2012 FIFA Club World Cup)決勝では、コリンチャンスが1-0でチェルシーを下しクラブ世界一に輝いた。同大会では「ホークアイ(Hawk-Eye)」、「ゴールレフ(GoalRef)」と呼ばれる二つの「ゴールライン・テクノロジー(GLT)」が導入され、運用された。(c)AFP/Tom Williams