【10月24日 AFP】元サッカーフランス代表のジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)氏の頭突きのシーンを再現した銅像が、騒動を巻き起こしている。

 この銅像は、2006年サッカーW杯ドイツ大会(2006 World Cup)決勝でジダン氏がイタリア代表のマルコ・マテラッツィ(Marco Materazzi)に頭突きを放ったシーンを再現したもので、仏パリ(Paris)の近代美術館「ポンピドー・センター(Pompidou Centre)」前に展示されている。

 高さ5メートルにも及ぶ銅像は、フランスで活動するアルジェリア人芸術家アデル・アブデセメド(Adel Abdessemed)氏の作品で、ポンピドー・センターで2013年1月まで開催される回顧展の一環として制作され、会期終了まで展示されている。

 ところが、多数の人間が訪れる同美術館の非常に目立つ場所に銅像が置かれていることが、地元フランスのサッカー連盟役員の不興を買っている。連盟側は、作品は、同大会を最後に引退したジダンの、広く伝えるべきイメージにふさわしくないと見解を示している。

 連盟側はジダンに宛てた公開書簡の中で、「この挑発的なイメージをあえて選んだアブデセメド氏には、貴殿の才能と、貴殿とフランス国民が共有できる前向きな感情を無視しようという悪意が感じられる」とつづった。

 その上でジダンに銅像を即時撤去するよう全力で働きかけることを求め、それに加えてスポットを当てるのであれば、3-0で勝利し優勝を遂げた1998年サッカーW杯フランス大会(1998 World Cup)決勝のブラジル戦での2つのヘディングシュートがふさわしかったはずだと付記した。

 ジダン氏は2006年にドイツのベルリン(Berlin)で行われたワールドカップドイツ大会決勝のイタリア戦で、両チーム1-1で迎えた延長後半、マテラッツィから挑発されたとして同選手に頭突きを放った。ジダン氏はレッドカードを提示されて退場となり、イタリアが制したPK戦にも参加することができなかった。

 ポンピドー・センターのアラン・セバン(Alain Seban)館長は連盟側の発言には驚いているとし、芸術的創造性の侵害に等しい行為だとコメントしている。(c)AFP