【10月11日 MODE PRESS】ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)表参道ビル内のアートスペース、エスパス ルイ・ヴィトン東京(Espace Louis Vuitton Tokyo)で、ブラジル出身のアーティスト、エルネスト・ネト(Ernesto Neto)の個展『Madness is part of Life(狂気は生の一部)』が開かれている。ギャラリーの天井から吊り下がる巨大インスタレーションを中心に“見て、座り、触れ、歩き、考える” 新作を展示。ガラス張りのギャラリー空間をネトの作品で再構成し、来場者に「生とは何か」を問いかける。

■ブラジルを代表する現代アーティスト

 リオデジャネイロ出身のネトは、香辛料や伸縮性のある布地を用いた、有機的な立体作品やインスタレーションで知られる現代アーティスト。ブラジルを代表するアーティストとして国内外で個展を開催し、01年のヴェネチア・ビエンナーレではブラジル館の代表を務めた。

■自らキュレーション

 自らキュレーターを務めた本展では、全長約15メートル、高さ約8メートルのインスタレーション「A vida é um corpo do qual fazemos parte(われわれは生という体の一部)」や「TorusMacroCopula(トルスマクロボールト)」など4点を披露。いずれも粒子や体細胞を 想起させる無数のプラスチックボールとかぎ針編みのロープで構成されている。来場者は、靴を脱ぎ、不安定に揺らぐ作品の上を歩いたり寝転んだりと、全感覚を駆使して非日常的空間と向き合うことが求められる。

■来場者も作品の一部

 開催にあわせて来日したネトは「身体が無数の細胞で構成されているように、この作品も無数のボールと編み目から成り立っています。それは同時に、社会を形成する無数の人間に対するオマージュでもあります。会場を訪れたみなさんは、私の作品の大切な一部。それぞれの点が、この空間で線として繋がり、道を形成するのです。目に映る世界の奥には、一体何があるのか。地上を離れ宙に浮かびながら、生や身体について考えを巡らせてほしい」とコメント。

■積み重なった小さな“狂気”

 さらに、「狂気は生の一部」というタイトルについて、「全てが統制の下に置かれた現代社会では、“狂気”と呼ばれる感情の居場所がなくなってしまいました。しかし、モラルや帰属意識といった社会的規範からはみ出した“狂気”こそが、人間にとって最も大切な感情であり、本来全てをつかさどるものではないでしょうか。西洋社会では、規範とともに文化が成長を遂げましたが、私はそれに対抗したい。芸術や発明は、積み重なった小さな“狂気”の中から生まれるのです」と語った。

 会場では、ネトと同じくブラジル出身のビデオアーティスト、エヴァンドロ・マシャード(Evandro Machado)のアニメーション作品も上映されている。会期は、2012年9月29日から2013年1月6日まで。

【イベント詳細】
展覧会名:Madness is part of Life
会期:2012年9月29日(土)~1月6日(日)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル7階
開館時間:12:00~20:00 入館料:無料
電話:03-5766-1094
公式サイト:www.espacelouisvuittontokyo.com
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