【8月14日 AFP】国際五輪委員会(International Olympic CommitteeIOC)は13日、ドーピング(禁止薬物使用)違反により、ロンドン五輪の陸上女子砲丸投げで優勝したベラルーシのナデジダ・オスタプチュク(Nadezhda Ostapchuk)の金メダルを剥奪すると発表した。

 31歳のオスタプチュクが2度提出した尿サンプルからは、禁止薬物メテノロン(metenolone)が検出された。ロンドン五輪で薬物違反によるメダル剥奪は初めて。

 この結果、ニュージーランドのバレリー・アダムズ(Valerie Adams)が繰り上がりで金メダル、ロシアのエフゲニア・コロドコ(Yevgeniya Kolodko)が銀メダル、中国の鞏立綺(Lijiao Gong、キョウ・リツコウ)が銅メダルとなった。

 2005年の世界王者であるオスタプチュクは、21メートル36の記録で2年近く1度も負けていなかった北京五輪覇者で3度の世界王者に輝いているアダムズを制していた。

■繰り上がり金メダルのアダムズ「せいせいした」

 一方、27歳のアダムズはニュージーランド五輪委員会(New Zealand Olympic CommitteeNZOC)のデイヴ・カリー(Dave Currie)選手団長から繰り上がりによる金メダル獲得の報告を受けた際、言葉を失ったと話した。

 アダムズはNZOCのウェブサイトに掲載された声明で、「デイヴにニュースが本当か聞きなおして、その後はただ涙が溢れてきた。金メダルを獲得できて本当に感動した」とコメントした。

 また民放のラジオ局に対してアダムズは、ロンドンのドーピング検査システムが正式な結果を出したことに満足したと明かし、「彼女はスタジアムで8万人の観衆の中で金メダルを受け取ったけれど、実際はそれを受け取るべきではなかった」と、限られた選手にしか経験できない瞬間をオスタプチュクに妨げられたと指摘した。

 ヨーロッパでトレーニングを続けるアダムズへの金メダル授与の詳細は決定していないが、「私はニュージーランド人であることをとてもとても誇りにしていて、オスタプチュクに栄光を盗まれたも同然なので、セレモニーはとても重要だと思う」とコメントし、ニュージーランド国家の演奏と国旗の掲揚を含むセレモニーを希望している。

 またアダムズはテレビ・ニュージーランド(TVNZ)の取材に対して、メダル剥奪を受けてIOC提訴の意向を示しオスタプチュクに対する同情心は一切ないと話し、「せいせいした。これ以上自分のエネルギーや呼吸を彼女に対して使いたくない」と一蹴した。(c)AFP