【12月15日 AFP】米航空宇宙局(NASA)が14日に公開した、巨大楕円銀河をらせん状に取り巻いている高温ガスの合成画像。チャンドラX線観測衛星(Chandra X-ray Observatory)のX線データは青で、超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)の光学データは金色で示されている。

 中央の楕円銀河を取り巻く明るい高温ガスの平均温度は約3000万度で、幅はおよそ100万光年もある。らせんの形状は、この楕円銀河を取り巻いていた大きな銀河団に小さな銀河団が衝突したことに起因する。

 衝突した小さな銀河団はいったん大きな銀河団の中心核を通過したが、銀河団ガスの移動方向が反転したため、小さな銀河団は大きな銀河団の中心核に引き戻された。この影響で、横方向に動かしたグラスの中のワインが揺れるように、銀河団ガスは中心核の前で左右に揺れた。もともと2つの銀河団の衝突時に中心軸がずれていたため、揺れるガスはらせん状になっていった。

 下方には、ブラックホールで吹き飛ばされた物質から吐き出されたバブルが、高濃度の冷たく明るいへりを持つ青色で示されている。

 なお、ガスの揺れは、銀河団の中心核にあるガスの冷却を妨げ、結果的に楕円銀河と超大質量ブラックホールの成長を制限している。(c)AFP