【3月26日 AFP】(一部更新)経済産業省原子力安全・保安院(NISA)は26日、東京電力福島第1原子力発電所の放水口付近の海水から、法定の濃度限度を約1250倍上回る放射性ヨウ素131が検出されたと発表した。

 検査は東京電力が行ったもので、同じ場所で数日前に採取した海水よりも約10倍高い、法定の濃度限度の1250.8倍の放射性ヨウ素131が検出された。

 原子力安全・保安院の西山英彦(Hideyuki Nishiyama)審議官によると、この汚染水準の水を0.5リットル摂取すると、一般の人の年間許容量とされる1ミリシーベルトを被ばくするレベルだという。しかし西山審議官は、一般的に言って海に放出された放射性物質は潮の流れによって拡散されるので、海洋生物や水産食品の安全にとって直ちに脅威になるものではないと述べた。

 さらに西山審議官は、ヨウ素131の半減期は8日と短いことから、このレベルの汚染を受けた水産食品を消費者が食べるとしても、そのころにはヨウ素131の量は大幅に減っているはずだと指摘した。

 しかし、東京電力は半減期が30年のセシウム137も、法定の濃度限度の約80倍検出されたと発表した。ヨウ素131やセシウム137が体内に入るとがんになる危険性が高まるとされている。

■汚染水の除去が緊急課題に

 福島第1原発では高い放射能を持つ水に漬かっていた作業員らが放射線によるやけどを負ったことを受け、建屋にたまった水の排出が緊急の課題になったとともに、燃料棒を格納している容器、あるいは弁やパイプに漏出があるのではないかとの懸念が出てきた。

 最悪のシナリオは、福島第1原発3号機の、ウランと毒性の高いプルトニウムの混合燃料(MOX燃料)がすでに溶融し始め、圧力容器を溶かし始めているのではないかというものだ。(c)AFP/Huw Griffiths

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