【2月28日 AFP】ニュージーランドのクライストチャーチ(Christchurch)で22日に起きた地震で倒壊した2棟のビルについて同市当局は、前年9月の地震後に実施した検査で安全だと認識していた。市当局者が28日に語った。

 カンタベリーテレビ(CTV)ビルとパイン・グールド(Pyne Gould)ビルは、22日のマグニチュード(M)6.3の地震で倒壊。日本や中国などからの語学留学生らを含む多くの人が生き埋めになった。

 クライストチャーチ市の技術職員、スティーブ・マッカーシー(Steve McCarthy)氏によると、前年9月にクライストチャーチを襲ったM7.0の地震後に市が行った検査でこれら2つのビルは安全だと判定されていた。「構造工学の専門家たちが調査に参加していた。仮に問題があれば明らかにされていたはずだ」(マッカーシー氏)

■想定外の強い揺れ

 しかし、地震の規模こそ小さかったものの、22日の震源は前年9月の地震よりも浅く、市街地からの距離も近かったため、より大きなエネルギーが伝わった。

 マッカーシー氏は、被災地の建物は地震で垂直方向に持ち上げられた後に重力の2倍の力で下に振られたが、建物の設計上そのような状況は想定されていなかったと述べ、今回の地震では最新のビルでも被害を受ける恐れがあったと指摘した。

 地震発生後、市当局が市中心部の建物1750棟を調査したところ、約36%にあたる640棟が「非常に危険」と認定され、394棟が「危険」と判断されたという。

 ニュージーランド政府は日中政府に対し、多くの留学生が被災したCTVビルの倒壊原因の調査に全力を挙げると約束している。(c)AFP