【10月27日 AFP】オセアニアやミクロネシアの島しょ国など22の国や地域が加盟する太平洋共同体(Secretariat of the Pacific Community、本部:ニューカレドニアのヌメア(Noumea))は27日、魚類の乱獲や人口増加、気候変動などの結果、25年後の2035年にはオセアニアやミクロネシア周辺海域の漁業が崩壊する恐れがあると警告する報告書を発表した。

 報告書は、年間20億ドル(約1600億円)の規模に上っている同海域の漁業は、加盟国間の協力がなく、管理体制が不十分だと指摘。マグロ類のいくつかの種は乱獲によって危機的な水準にまで減少したことを挙げ、水産資源が世界的に枯渇しつつあるなか、豊かな漁場を求めて太平洋にやってくる外国漁船を野放しにすれば、こうした危機が他の魚種にもおよぶと警鐘を鳴らした。

 適切な計画がなければ、海水温上昇や海水の酸性化、降雨パターンの変化、気候変動によるサイクロンの大型化などの問題に対処できないだろうと懸念を示した。

 さらに、2035年までに現在より50%多い1500万人になると予想されている同地域の人口増加により魚類の需要が高まり、持続可能ではない形の漁業を続けることによるリスクが高まると警告した。

 合わせて、報告書はより効果的な違法操業取り締まり対策、外国漁船の段階的な削減、地元の漁業コミュニティーと協調した長期計画の導入の必要性を強調している。(c)AFP