【6月17日 AFP】イタリア中部トスカーナ(Tuscany)州ポルト・エルコレ(Porto Ercole)の教会で見つかった遺骨の1つが、約400年前に没したバロック期の画家カラヴァッジオ(Caravaggio)のものであることがほぼ特定された。

 ボローニャ大学(University of Bologna)の法医人類学者を中心に国内4大学の微生物学者や歴史家らが加わり調査にあたっていた「カラヴァッジオ委員会(Caravaggio Committee)」は16日、「ポルト・エルコレにある教会墓地の地下納骨堂で発見された遺骨のうち1人のものは、85%の確率で画家ミケランジェロ・メリジ・ダ・カラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)のものだ」と発表した。

 研究者らは、発見された遺骨をDNA鑑定や放射性炭素年代測定法などで1年をかけて分析した。この過程でカラヴァッジオが梅毒に感染し、鉛中毒だったこと、日射病にかかっていたことを示す痕跡も見つかった。
 
 カラヴァッジオは1610年ごろに38~40歳前後で亡くなったとされているが、墓には墓碑などがなく、約200人が眠るポルト・エルコレの小さな教会墓地にある墓のどれかだと考えられていた。1956年にこれらの墓は掘り起こされ、遺骨はまとめて教会の地下にある納骨堂に収められた。調査委員会はすべての遺骨を1つずつていねいに調査し、カラヴァッジオの遺骨を特定した。

 カラヴァッジオは、「バッカス(Bacchus)」「エマオの晩餐(The Supper at Emmaus)」「イサクの犠牲(Sacrifice of Isaac)」といった作品で見せた光と影の劇的な明暗法(キアロスクロ)で当時の絵画に革命をもたらしたといわれる。(c)AFP