【3月24日 AFP】米国、カナダの両政府は春休みシーズンに入った大学生たちに、麻薬がらみの事件が多発している米・メキシコ国境付近への渡航を控えるよう警告しているが、学生たちは気にする様子もなくメキシコのリゾートビーチに大挙して押し寄せ、安物のカクテルをがぶ飲みしてはパーティーに明け暮れている。

 米国境に近いメキシコ北部シウダフアレス(Ciudad Juarez)では1週間ほど前に、米領事館職員や家族計3人が、麻薬組織とみられる一味に射殺されたばかり。また南部太平洋岸のリゾート都市アカプルコ(Acapulco)から北部の経済の中心モンテレイ(Monterrey)まで、襲撃や暴力による殺害事件が相次いでいる。

 こうした中、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は24日、安全保障問題の顧問団を引き連れ、メキシコの組織犯罪撲滅に13億ドル(約1200億円)を投入する3か年計画について協議するため、メキシコ入りした。

 しかしカリブ海に面したメキシコのビーチに集う学生たちはそのような事情を気にしない。勧告の対象になっていない白い砂浜に繰り出し、ビールの入ったプラスチック製カップを手に、波の音もかき消す大音響で昼夜踊り続けている。

 金融危機の影響で08年にメキシコを訪れた外国人観光客は2150万人と、前年比で約1100万人も落ち込んだ。観光業界の収益も同20億ドル(約1800億円)減の113億ドル(約1兆300億円)にとどまった。

 しかし現地の観光関係者は、メキシコで新型インフルエンザA型(H1N1)が発生したために閑古鳥が鳴いた前年とは違い、今年は襲撃事件とは関係なくにぎわっていると言う。

 北米の学生たちの春休みシーズンは2月下旬から4月初旬まで。温かい気候、安い旅費に法律がゆるいという噂があいまって、米国境沿いに集まる若者たちは引きも切らない。(c)AFP/Leticia Pineda