【2月20日 AFP】第1位でフィニッシュすることが冬季五輪で最も重要なのは間違いないとしても、実は、2位につけるよりも3位になった方が選手の満足感が高い場合が多いとの研究結果が、カナダの日刊紙グローブ・アンド・メール(Globe and Mail)に掲載された。

 米イリノイ(Illinois)州のノースウエスタン大(Northwestern University)のビクトリア・メドベク(Victoria Medvec)教授(心理学)らの研究チームによると、この現象は、「反実仮想」、あるいは「もし~~だったら」という発想方法と関係しているのだという。

 メドベク氏は、グローブ・アンド・メール紙に対し、「平均すると、銅メダリストの方が、銀メダリストよりも幸福感を得ている」と語った。同氏によれば、銅メダリストは、「少なくともメダルをとったぞ」など前向きな発想をするために満足感が高まる。一方、銀メダリストは「もし~~だったら(金がとれたのに)」などと後ろ向きな発想をしがちで、その結果、幸せな気分を減退させるのだという。

 これを示す最も有力な調査は、1992年バルセロナ五輪のメダル授与式を記録した映像を分析したもの。メドベク氏率いる研究チームは、被験者に、銀メダリストと銅メダリストの顔の表情を見せ、それぞれの満足度を評価させた。その結果、順位と満足度が一致しないことが明らかになったという。

 メドベク氏は、「客観的に良いパフォーマンスをみせた選手が、自分よりも低い順位の選手よりも満足感を得られないことがあるとわかった」と語る。

 また、バンクーバー(Vancouver)の心理学者、ソール・ミラー(Saul Miller)氏は、スポンサーやチームメート、ファンたちからの期待が、選手の不満度に影響すると述べる。五輪は勝利することよりも参加することに意義があるとされているが、ミラー氏は「それは昨今はナンセンスになってきている」と語った。(c)AFP