【1月19日 AFP】中国の小学生の3人に1人が、教室でのストレスや親から受けるプレッシャーの結果、精神的な病に苦しんでいるとする調査結果が、19日発行の英医学学会(British Medical Association)医学誌「Archives of Disease in Childhood(幼年期疾患)」に発表された。

 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)のテレーズ・ヘスケス(Therese Hesketh)教授率いる英中の合同チームは、比較的豊かとされる中国東部・浙江(Zhejiang)省で、省都・杭州(Hangzhou)市(都市部)と同省西部・衢州(Quzhou)市(農村部)の9つの小学校に通う9~12歳の小学生2191人を対象にアンケートを実施した。

 試験に関して「とても心配」と答えたのは全体の81%、「先生に罰せられるのがこわい」と答えたのは63%。「体罰を受けたことがある」と答えたのは全体の44%で、その内訳は男子が女子を上回った。「親から体罰を受けたことがある」のは73%だった。

 また、回答者の大半が、「宿題の量が多すぎてこなしきれない」と答えた。

 頭痛または腹痛(いずれも心因性ストレスの症状)が「週に1回以上ある」と答えたのは全体の3分の1以上で、「週に4回ほど」という回答もあった。

■一人っ子政策の影響も

 ヘスケス教授は、中国の教育制度における極端な競争社会が小学校から始まっていることを指摘する。「競争が激しく懲罰的な教育環境は、高度のストレスと心身症を招く。子どもたちが被る不必要なストレスを減らすための対策が早急になされるべきだ」 

 研究は、学校で好成績が求められることと、失敗が許されないことには、複数の要因があるとしている。

 1つには、富裕層が急増したことがある。このことは、上へ這い上がるための可能性が突然目の前に開かれ、そのため子どもたちには学校でよい成績を収めるようにとのプレッシャーがかかることを意味する。

 一人っ子政策、親や年寄りを敬うべきとの儒教の教えなども挙げられる。調査結果は、「教育機会が限られる中で育った親たちの野心は今、自分たちの一人っ子に注がれている」と分析している。(c)AFP