【10月20日 AFP】海面上昇により消滅の危機にさらされている太平洋の島々は、12月にデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)で行われる気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、島民移住のための支援を求めるべきだ――。フィジーの科学者が19日、このような提言を行った。

 マーシャル諸島の首都マジュロ(Majuro)では同日、COP15を前に太平洋の14の国と地域が温暖化対策を話し合う「太平洋気候変動円卓会議(Pacific Climate Change Roundtable)」が開幕した。議長を務める南太平洋大学(University of the South Pacific、在フィジー)のパトリック・ヌン(Patrick Nunn)教授は会議前に、国連の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)が07年の報告書に記した予想を上回るペースで海面が上昇していることが数々の研究で示されていると指摘し、「2100年までに海面は1メートル以上上昇するだろう。そのときまでに、居住可能な島がどの程度残っているかは分からない」と発言した。

 気候変動を24年間研究してきたというヌン教授は、マーシャル諸島やキリバス、ツバルなど、海抜の低いサンゴ環礁島での居住はいずれ不可能になると予想している。現在、こうした低海抜地帯では温暖化の緩和や海面上昇への適応プログラムなどが提案されているが、「島外移住以外の選択肢はない」とヌン教授は話している。(c)AFP/Giff Johnson